レリ・モナリサ

ケーススタディ · B2B SaaS · 製造業OEE

損失の可視化と問題追跡をEvomoに追加する — ProchizがExcelを手放せなかった2つのギャップ。

EvomoはIoTを活用した製造業向けOEEプラットフォーム。クライアントのProchiz(チーズ製造業)では、ダウンタイムの損失金額が自動計算されず、問題の担当者も不明確なまま運用されていた。ユーザーインタビューと現場の運用フローを調査し、2つの機能要件を定義・設計した。

役割

UI/UXデザイナー

期間

2スプリント · 2022年3〜6月

クライアント

チーズ製造 · B2B SaaS

フォーカス機能

損失計算 & 問題追跡

設計プロセス

報告書分析ペルソナ定義機能設計(03 & 04)反復・スプリントレビュー

TL;DR

損失計算機能はParetoビューに期待損失列(pcs・金額)を追加した。Prochizの月次報告書で必須の列だったが、Evomoは未対応だった。問題トラッカーはPICアサイン・是正処置の記録・ステータス管理を実装した。副作用として、毎週Excelで手作業していたライン別問題レポートがTrackerを使うだけで自動生成されるようになった。

Evomoダッシュボード — OEE概要Production Line 101
Evomo OEE main dashboard

00  /  コンテキスト

Evomoは現場のIoTデータを管理者まで届けるプラットフォーム。

OEE?

Overall Equipment Effectiveness — 工場の設備がどれだけ効率よく動いているかを0〜100%で表す指標。100%は無停止・無不良・フル速度を意味する。

Evomoの仕組み

IoTセンサー

データ収集

OEEダッシュボード

管理者が確認

意思決定

01センサー → Evomo

IoTセンサー機械に設置

各機械にセンサーが取り付けられており、稼働・停止をリアルタイムで自動検知する。オペレーターが手動でログを取る必要はない。

ドラッグまたはクリックで各ステップを確認

01  /  問題

Prochizの月次オペレーションに、Evomoが対応できていない5つのワークフローがあった。

優先度の高いギャップをクリックすると、対応して設計したFeatureが表示されます。

Evomo 既存機能

リアルタイム OEE
ダウンタイム自動記録
機械別ログ
Pareto 分析
プラットフォームが対応
手作業 / Excel
01

OEEターゲット未設定

02

レポートを毎回Excel手作業

05

歩留まりデータExcel手作業

03

期待損失が算出されない

クリックして詳細 ▾

04最重要

問題追跡・担当者・記録なし

クリックして詳細 ▾

優先度マトリクス — 影響度 × 実装コスト

見送り
設計・実装
影響度 ↑
Quick wins今すぐ対応
Major要計画
Fill-ins余力で
Avoid後回し
01
02
05
03
04
← 低コスト実装コスト高コスト →

02  /  ディスカバリー

Prochizから届いたCSVが、インタビューより先に答えを示していた。

Prochizのチームは既存の月次報告書・ダウンタイムログ・生産スプレッドシートをCSVで共有してくれた。データを確認してからインタビューに臨み、EngineerとPlant Managerに実際の運用フローを確認した。CSVで見えていた2つのギャップはインタビューでそのまま裏付けられた。

インタビューで確認された2つのギャップ

Feature 03最優先

月次報告書に「ダウンタイムによる期待損失(pcs)」列があった

Plant Managerへのインタビューで確認:この列は月次報告書に必須で、経営陣への説明に直接使われている。Evomoはこの数値を計算しておらず、毎月Excelで手入力していた。

Feature 04最優先

ダウンタイムログに「是正処置・担当者」列があった

Engineerへのインタビューで確認:問題が発生したとき、誰が対応するかをログに残すのは当然の運用だった。Evomoには担当者アサインも追跡ステータスもなく、全て別途Excelで管理していた。

3つのペルソナ

Plant Manager

ユーザー

プラント・技術・QC・生産スーパーバイザー

ペイン

データ処理に工数がかかる / 管理職と現場の認識を合わせるのが難しい

アクセス権

Dashboard · Analysis · Chat · レポートDL

Director

ユーザー

Dir · HoM · HoMS · BU Head · Engineering Head

ペイン

OEEデータの取得が遅い / データ精度が確認できない / 工場全体を俯瞰できない

アクセス権

Dashboard · Analysis(生産&ダウンタイム)· レポートDL

Engineer (Admin)

ユーザー

Engineer(Admin)

ペイン

正確な生産計画に必要なデータが揃わない

アクセス権

設定フル権限(Runtime · Machine · Schedule · Reason · Product)

03  /  設計判断

損失計算と問題追跡 — 連動するOEEワークフローの2機能。

損失計算は既存のダウンタイムデータに損失の定量化を加え、問題追跡は構造化された追跡とレポートを追加する。どちらも既存のIAに組み込み、新規ページは追加しない。

Feature 03

期待損失(Expected Losses)

Pareto / Availability ビューに1列追加。新しいレポートページは作らない。

データはすでに存在していた。不足していたのは計算ロジックと列の表示だけ。新しいページを作ると毎回ナビゲーションコストが発生する。列の追加は1回の学習コストで済む。

なぜこの列が重要か

ダウンタイムが長時間続いた場合、どれだけの生産量が失われたかが即座に分かる。この数値がなければ、管理者はダウンタイムを「時間の問題」としてしか捉えられない。期待損失(pcs)を表示することで、「このダウンタイムで生産量がX個減少し、それが直接的な売上損失につながる」という意識をAdminが持てるようになる。特にダウンタイムが長引くほど損失額が積み上がるため、早期対処への動機づけとしても機能する。

計算式

Expected Loss (pcs) = Downtime (min) ÷ Cycle Time (min / pcs)

Expected Loss (value) = Expected Loss (pcs) × Product Price (Rp / pcs)

サイクルタイムと製品単価はEngineer(Admin)が設定画面で事前に入力する。

Pareto view with expected losses
期待損失

Paretoビュー — 追加されたpcs列(期待損失)。

Feature 04

中核機能

Problem Tracker — 問題を発見したその瞬間から、記録・対処・報告まで一気通貫。

なぜこれが最重要機能なのか

Prochizの月次報告書には「問題発生 → 対処 → 再発防止」の記録が毎回含まれていた。このワークフローをEvomo内で完結させることで、毎週Excelで手作業していた「ライン別問題レポート」を自動生成できる。

損失削減のチェーン

01

問題発生

機械が停止、ダウンタイム記録

02

損失を数値化

期待損失(pcs)が自動算出

03

PICに即通知

Tracker起票 → 担当者へ通知

04

週次レポート

クローズ済み問題がライン別に集計

ロール別ウォークスルー

Operasional(作成)

Operasional(作成)
Click for Zoom

機械ダッシュボードからタイムラインのダウンタイムブロックをタップすると「Input Reason」モーダルが開く。Nama Reason・開始・終了時刻は自動入力済みで、OperasionalはReasonと備考を入力するだけでよい。

ダウンタイムは機械に取り付けられたセンサーによって自動的に記録されるため、ユーザーが手動で時刻を入力する必要はない。ただし、センサーが対応していない場合や例外的な状況では、手動入力も可能な設計になっている。

ダッシュボード — ダウンタイム自動記録

ダッシュボード — ダウンタイム自動記録
Click for Zoom

オペレーターダッシュボード上でダウンタイムはセンサーから自動記録される。ダウンタイムカードをタップすると「Input Reason」モーダルが開く。

Input Reason — 原因入力フロー

Input Reason — 原因入力フロー
Click for Zoom

モーダル内でReasonを選択 → Keteranganを入力 → Submitで送信。開始・終了時刻はセンサーから自動入力済み。

Superadmin

Superadmin
Click for Zoom

Superadminのフロー:Issue一覧からIssue詳細を開き、Edit IssueでPICを割り当てて保存する。

Paretoビュー — ダウンタイム原因を確認

Paretoビュー — ダウンタイム原因を確認
Click for Zoom

SuperadminはParetoビューで各ダウンタイムのReason・損失量を確認。対応が必要なダウンタイムのドットをクリックし「Issueとして登録」を選択する。

Issue一覧 → Edit Issue

Issue一覧 → Edit Issue
Click for Zoom

Issue一覧ページに移動し、対象のIssueの「Edit」を選択。Edit Issueダイアログが開き、StatusをIn Progressに変更してPICを割り当てる。

Edit Issue — ステータス・PIC・是正指示

Edit Issue — ステータス・PIC・是正指示
Click for Zoom

ダイアログ内でStatusを選択、PICを指名、Tindakan Perbaikan欄に是正指示を記入してSubmit。担当者に通知が届く。

Operasional(修正)

Operasional(修正)
Click for Zoom

Operasional (fix) のフロー:割り当てられたIssueをEdit Issueで開き、In Progressに更新してLog Actionで是正処置を記録し、最終的にClosedにする。

通知 — 割り当て済みIssueを確認

通知 — 割り当て済みIssueを確認
Click for Zoom

SuperadminがPICを割り当てると、OperasionalのダッシュボードにNotifikasiが届く。通知をタップするとIssue一覧に移動する。

Issue一覧 → Edit Issue

Issue一覧 → Edit Issue
Click for Zoom

Issue一覧で割り当てられたIssueを確認し、Editを選択。ダイアログを開いてStatusをIn Progressに更新し、作業を開始する。

是正処置を記録してClose

是正処置を記録してClose
Click for Zoom

Tindakan Perbaikan欄に実施した是正処置を記入し、StatusをCloseに変更してSubmit。Issue一覧に結果が反映される。

プロトタイプ

設計上の判断

Flow

起票はParetoの行から

損失金額が見える状態で起票できる。別ページへ飛ぶと文脈が途切れる。

Flow

Superadmin: まずOpenにしてからPICを割り当てる

確認してから委任。Open = 承認済み・未割り当て の状態が現場の実態に合う。

Flow

Operasionalの起点は通知

現場スタッフはダッシュボードを常時見ていない。通知が唯一の合図。

Data

ステータスは3つだけ

インタビューで全員がこの3状態だけを使っていた。「承認待ち」は存在しない。

Data

セッション個人化フィールド

同じラインでも担当者によって文脈が違う。週次レポートで「誰のシフト中か」まで追跡できる。

Data

クローズ済みはTrendsにも保存

問題はクローズで終わらない。翌週のPareto分析への入力になる。

04  /  結果

2つのギャップ — ビフォー・アフター。

損失計算と問題追跡が変えたこと。

ジョブ設計前設計後
期待損失の算出手動計算Paretoビューで自動算出
問題追跡・週次ライン報告手書き台帳・Excelで週次手作業ダウンタイム→問題トラッカー → PIC通知 → 週次集計レポート自動生成

Plant Manager — 週次 BoD プレゼンテーションへの活用

Plant Managerは毎週、取締役会に各ラインの稼働状況を報告する必要があった。損失計算と問題追跡を組み合わせることで、このプレゼンに必要なデータが一元化される。

損失計算

各ダウンタイムによる損失(pcs・金額)がParetoビューで確認できる。「今週はこのラインで合計XX個・XX万円分の損失が発生した」と数値で示せる。

問題トラッカー

Problem Trackerの週次集計ビューで、「何の問題が・誰が対処し・どんな是正処置を取ったか」がライン別に揃う。BoDへの説明に必要な情報をExcelなしで提示できる。